「robots.txt」と「llms.txt」はどちらもウェブサイトのルートディレクトリに配置されるテキストファイルですが、その目的、対象とするクローラー、そして記述内容において明確な違いがあります。SEOはrobots.txtで、LLMO(大規模言語モデル最適化)はllms.txtと覚えていただきつつ、違いを理解してSEOとLLMOの両立に役立つ知識を解説します。
このページの目次
robots.txt
目的:
- 検索エンジンクローラーのアクセス制御: 主にGooglebotなどの検索エンジンのクローラーに対して、ウェブサイトのどのURLにアクセスしてよいか、どのURLを避けるべきかを指示します。
- サーバー負荷の軽減: クロール不要なページ(管理画面、重複コンテンツ、一時的なファイルなど)へのアクセスを制限することで、サーバーへの無駄な負荷を軽減し、クロールバジェットを最適化します。
- インデックス登録の制御(間接的): クロールを拒否することで、そのページの検索エンジンのインデックス登録を防ぐことができます。ただし、robots.txtはあくまで「リクエスト」であり、強制力はありません。noindexタグなどと併用することが推奨されます。
対象:
- 検索エンジンのクローラー: Googlebot, Bingbot, Yahoo! Slurpなどの主要な検索エンジンのクローラーが主な対象です。
記述内容:
- User-agent: 対象とするクローラーを指定します。(例:
User-agent: *
で全てのクローラー、User-agent: Googlebot
でGooglebotのみ) - Disallow: アクセスを拒否するパスを指定します。(例:
Disallow: /private/
で/private/
以下の全てのアクセスを拒否) - Allow: Disallowでブロックされた範囲の中から、特にアクセスを許可するパスを指定します。(例:
Allow: /private/public-data.html
) - Sitemap: サイトマップのURLを指定し、検索エンジンにサイトの構造を伝えることができます。
例:
User-agent: *
Disallow: /admin/
Disallow: /temp/
Allow: /images/public-images.jpg
Sitemap: https://www.example.com/sitemap.xml
llms.txt
目的:
- 大規模言語モデル(LLM)へのコンテンツ理解の促進: LLMがあなたのサイトのコンテンツをより正確に理解し、要約、質問応答、コンテンツ生成などに活用できるようにするためのガイドを提供します。
- LLMによるコンテンツ利用ポリシーの明示: コンテンツの利用を許可する条件や制限、クレジット表記の要件などをLLMに伝えます。これにより、著作権保護や意図しない利用を防ぎます。
- LLMへのコンテンツ掲載促進: LLMが生成する回答や要約にあなたのサイトのコンテンツが引用される可能性を高め、新たなトラフィックやブランド認知度向上を目指します。
対象:
- 大規模言語モデル(LLM)のクローラーやエージェント: ChatGPT, GoogleのAI Overview、Perplexity AIなどのLLMや、それらを活用するAIエージェントが主な対象です。
記述内容:
- Markdown形式: 人間とLLMの両方に理解しやすいように、Markdown形式で記述されます。
- サイトの概要: サイト全体の簡単な説明。
- 主要なコンテンツのリスト: サイト内の重要なページ(記事、FAQ、ドキュメントなど)のタイトル、簡単な説明、URLをリスト形式で提供します。
- 利用ポリシー: コンテンツの利用許可、制限、クレジット表記に関する具体的な指示。
- 連絡先情報: 問い合わせ先。
例:
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# 利用ポリシー
- **利用許可**: 当サイトのコンテンツは、出典を明記することを条件に、要約や引用のために利用することを許可します。
- **利用制限**: AIモデルの直接的な学習データとして利用すること、および商用目的での全文複製や再配布は禁止します。
- **クレジット表記**: コンテンツを引用する際は、「[サイト名]([サイトURL])より」といった形で明確な出典を明記してください。
# 連絡先
- **メール**: info@example.com
まとめ「具体的な違い」
項目 | robots.txt | llms.txt |
---|---|---|
主な目的 | 検索エンジンのクローラーへのアクセス制御 | LLMへのコンテンツ理解の促進と利用ポリシーの明示 |
対象 | 検索エンジンのクローラー | 大規模言語モデル(LLM)のクローラーやエージェント |
記述形式 | シンプルなテキストファイル(User-agent, Disallowなど) | Markdown形式(ヘッダー、リスト、引用ブロックなど) |
指示内容 | クロールしてよいか、悪いか | コンテンツの内容、重要性、利用方法、許諾条件 |
強制力 | あくまで「リクエスト」(悪質なクローラーは無視する可能性あり) | LLMが「理解」し、従うことを期待する(法的な強制力はない) |
SEO効果 | クロール効率の最適化、間接的なインデックス登録制御 | LLM経由での露出増加、ブランド認知度向上、AI時代の新しい集客チャネル |
標準化 | 長年にわたり広く利用され、事実上の標準化されている | 比較的新しい概念であり、まだ完全には標準化されていない |
要するに、robots.txt
は「ここには入ってこないでください」という立ち入り禁止区域を指示するようなもの、llms.txt
は「この情報の要点はここで、このように使ってほしい」という情報の「取り扱い説明書」のようなものです。
これらは互いに排他的ではなく、併用することで、検索エンジンとLLMの両方に対して、あなたのサイトの情報をより効果的に管理・最適化することができます。